タッチ・パネルはLCDと密着
iPhoneを薄くする上でハードルを高くしたのが,タッチ・パネル付きの3.5型液晶パネルである。全体の厚さは約3.7mmで,表面の保護用ガラスとタッチ・パネルを合わせた厚さは約2.2mmだった(図6)。
液晶パネルにもApple社のこだわりがみえる。タッチ・パネルを積層しても,画面の見栄えが損なわれないように工夫している。分解の結果,液晶パネルとタッチ・パネルは「接着フィルムを使って真空ラミネート加工で張り合わせている」(分解に協力した技術者)ことが分かった。両者を引き離したときに,液晶が充填されている層がむき出しになったことから推測した。
この方式は,液晶パネルとタッチ・パネルの間に空気の層が入る方式に比べ,光の透過率が高まる利点がある。ただし,埃の混入を排除するために製造コストが高くなる。iPhoneの顔というべきディスプレイに,Apple社はコストを惜しまなかったといえそうだ。
ある部品メーカーの話によると,液晶パネル自体は日本のディスプレイ・メーカー3社からの複数購買であるという。液晶パネルとタッチ・パネルを張り合わせる作業は,ドイツBaldaAGが担当しているとみられる。
タッチ・パネルは,約9mm×20mmの薄型プリント配線基板を備えている(図7)。この基板を厳重に覆っていたシールドを取り除くと,Apple社の名前が入った約7mm×6mmのチップや,24MHzの水晶発振器などが実装されていた。このチップが,iPhoneの特徴である,複数の接触点の位置検出を担うとみられる。